活性酸素の関与する神経細胞障害に及ぼす
2”-O-glucosylisovitexinの防護作用
   
   
  大麦若葉の青汁粉末から分離された2”-O-glucosylisovitexin(GIV)には、α-トコフェロールと同程度の抗酸化作用があることが知られている。(*1,*2,*3)本研究においては、GIVの抗酸化作用に関する研究の一環として、脳神経細胞の酸化障害を対象とした。

脳神経細胞の障害には、多くの場合、活性酸素種の関与が指摘され、活性酸素種により生じた過酸化脂質またはその二次生成物による細胞膜の機能障害に起因すると考えられている。

本研究においては、GIVとマウスの学習効果との関係を、GIVのin vitroでの活性酸素除去作用および活性酸素が関与すると考えられるグルコースオキシダーゼによる細胞致死作用や両側頚動脈の一時的結紮による一過性脳虚血障害に及ぼすGIVの作用を検討し、GIVの新規な効果を見い出した。
       
  GIVの抗酸化作用  
  GIVの抗酸化活性は、安定ラジカルDPPH 10-4MのGIVによる還元作用の測定(*4)、キサンチン-キサンチンオキシダーゼ系でのスーパーオキシド産生抑制作用の測定(*5)により行った。安定ラジカルDPPHの還元作用に対するEC50は68mM、キサンチン-キサンチンオキシダーゼ系に対するIC50は124mMであった。

GIVは明らかに抗酸化作用を有することが確認された。
 
     
  GIVのin vitroにおける抗酸化作用  
  グルコースオキシダーゼによる新生児ddy系マウスの培養大脳皮質神経細胞(*6)の致死効果に対するGIVの抑制作用により測定した。初代培養細胞はグルコースオキシダーゼ10mU/mlにより90%が死滅したが、このグルコースオキシダーゼによる細胞死をGIVの1μMは20%、10μMは57%、100μMは96%抑制し、in vitroでの抗酸化作用が確認された。
 
     
  脳虚血による学習障害に及ぼすGIVの影響  
  小島・金戸の方法(*7)により、6-7週令のddy系マウスの外科的脳虚血モデルを作成し、学習能の評価は受動的回避学習実験(*8)により行った。

学習実験装置は床格子の中央に木製のプラットホームを置き、床格子には電気刺激装置を接続した。1日目に虚血操作のための手術を行ない、2日目にはマウスを実験装置に慣らすための訓練として、マウスをプラットホーム上に乗せ、降りるまでの時間(ステップダウンレイテンシィー)を測定した。マウスは床に降りてから1分間そのまま放置した。3日目にはGIVを100mg/kgまたは300mg/kg腹腔内投与した15分後にマウスをプラットホームに乗せ、マウスの四肢全てがプラットホームから降りた直後に50V、200msec、2Hzの電気刺激を最大30秒間負荷した。電気刺激の直後に両側頚動脈を10分間結紮したマウスを、24時間後、プラットホーム上に乗せ、マウスがプラットホームから降りるまでの時間である記憶形成の指標であるステップダウンレイテンシィーを測定した。

実験結果を図1に示す。対照群マウスでは電気刺激前の訓練系training trialおよび習得系acquisition trialのステップダウンレイテンシィーに比較して電気刺激後の記憶系retention trialのステップダウンレイテンシィーは有意に延長された。この記憶系のステップダウンレイテンシィーの延長は10分間の虚血操作により有意に短縮された。

虚血操作によるステップダウンレイテンシィーの短縮は学習能の低下によるものであるが、GIVを100mg/kgまたは300mg/kg、虚血操作前投与することにより容量依存的に学習能低下が予防された。
 
   
  図1 マウスを用いた受動的回避学習実験における〜
     
 
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